2012年間、サイアーリーディングを走り続けてきたディープインパクト。10年間もの長期間、首位を独走し続けました。それもついに動く時が来たようです。
現3歳世代(2019年産)春のクラシックが終了しました。この世代の戦いが本格化し、サイアーランキングも変動がありました。2021年6月3日~2022年4月3日までの期間、「デビュー」から「クラシックトライアル」期間のサイアーランキングは、ディープインパクトが首位。しかしそれがついに動く時が来ました。結果をご覧いただく前に、2022年の春のクラシックレースを見ていきましょう。
クラシック開始以前のサイアーランキングはコチラ。
まずは、4月9日(桜花賞当週)~5月29日(ダービー当週)までのG1レースの成績を見てみましょう。
2022年4月
桜花賞 | 馬名 | 父名 | 賞金 |
1着 | スターズオンアース | ドゥラメンテ | ¥130,000,000- |
2着 | ウォーターナビレラ | シルバーステート | ¥52,000,000- |
3着 | ナムラクレア | ミッキーアイル | ¥33,000,000- |
桜花賞は先行争いが激化し、前へ行った組には不利な展開。ウォーターナビレラ、ナムラクレアがしぶとく粘る中、後方から上がり3F:33.5の豪快な末脚で、スターズオンアースが鋭く突き抜けました。クイーンカップ2着からの直行で桜花賞を制しました。
皐月賞 | 馬名 | 父名 | 賞金 |
1着 | ジオグリフ | ドレフォン | ¥150,000,000- |
2着 | イクイノックス | キタサンブラック | ¥60,000,000- |
3着 | ドウデュース | ハーツクライ | ¥38,000,000- |
皐月賞は中山最終週、土曜日は雨の影響で稍重の競馬となり、当日の日曜日も引き続き時計のかかる馬場でした。前半60.2秒の平均的な流れでしたが、馬場の影響からか、後半もさほど速くならず。好位から鋭く伸びたジオグリフにイクイノックスが迫る展開になりました。両馬ともそれぞれ、共同通信杯、東スポ杯2歳ステークスからの直行組。トライアルを使った中では、ドゥデュースが1頭だけ、次元の違う末脚で追い込みましたが、差し届かずの展開でした。
オークス | 馬名 | 父名 | 賞金 |
1着 | スターズオンアース | ドゥラメンテ | ¥140,000,000- |
2着 | スタニングローズ | キングカメハメハ | ¥56,000,000- |
3着 | ナミュール | ハービンジャー | ¥35,000,000- |
オークスはニシノラブインクが大逃げを打って、ピリッとした流れに。各馬けん制し合う中、1000m通過が60.6秒となりましたが、後続はもう少しスローに流れていたはずです。ただ、各馬、大逃げを見ながら楽に追走できたわけではなく、仕掛けどころが難しい、スタミナの要る消耗戦になりました。直線では外に出した各馬が伸びてくる中、スターズオンアースがさらに外から突き抜け、桜花賞との二冠を達成。オークスは例年以上に中距離適性が問われたレースとなりました。
ダービー | 馬名 | 父名 | 賞金 |
1着 | ドウデュース | ハーツクライ | ¥200,000,000- |
2着 | イクイノックス | キタサンブラック | ¥80,000,000- |
3着 | アスクビクターモア | ディープインパクト | ¥50,000,000- |
ダービーはデシエルトが逃げ、かなり縦長の展開になりました。1000m通過が58.9秒と追走するにもきつい展開。今年はここからがハイレベル。最後の1000mが12.0-11.8-11.5-11.7-11.2となり、先行各馬が止まる中、先に外に出して追い出したイクイノックスを、ドウデュースがさらに外から差し切る展開に。2分21秒9の好時計レースで、他馬を差し切った上位2頭は上がり時計も優秀。とにかく皐月賞とは打って変わって、差し馬が台頭する、好時計勝負の展開になりました。
NHKマイルカップ | 馬名 | 父名 | 賞金 |
1着 | ダノンスコーピオン | ロードカナロア | ¥130,000,000- |
2着 | マテンロウオリオン | ダイワメジャー | ¥52,000,000- |
3着 | カワキタレブリー | ドレフォン | ¥33,000,000- |
逃げるであろうジャングロが出遅れたため、各馬折合いの難しい馬たちが行きたがってしまい、テンの4F:45.6秒と予想以上のペースになってしまいました。先行各馬が脱落していく中、勝ったダノンスコーピオンが好位から抜け出し、後方から末脚を伸ばしたマテンロウオリオンとカワキタレブリーを退け、優勝しました。
ここでまとめます。この期間中に、一番賞金を積んだのは牝馬は二冠のドゥラメンテ産駒のスターズオンアース(2億7000万)。ダービーを制し、皐月賞3着のハーツクライ産駒のドウデュース(2億3800万)がそれに続きます。牡馬クラシック連続2着のキタサンブラック産駒のイクイノックス(1億4000万)も獲得総賞金を伸ばしました。2頭合わせて賞金を積んできたのは、ジオグリフ・カワキタレブリーを排したドレフォン(1億3800万)。それに並ぶのがNHKマイルカップを制したロードカナロア産駒、ダノンスコーピオン(1億3000万)です。
これらの種牡馬が最終的に、この期間内に順位を上げる数字を叩き出していると言えます。
それを前提に下記リーディング表をご覧になって下さい。
(集計期間:2021年6月~2022年5月)
※獲得総賞金順
※勝率が10%を超える種牡馬は赤字で表示しています(出走頭数ベースではなく、出走回数ベースです)。
※ダートシェア率が30%を超える種牡馬は黄色で着色。ダートシェアの考え方は、過去のコラムをご参照ください。
※種付け頭数の()数字は2019年産駒の種付け頭数ランキングの順位です。
首位はスターズオンアースを排したドゥラメンテ。4月以降も17勝挙げており、全体的な成績も優秀です。2位はロードカナロアが意地を見せました。ダノンスコーピオンを筆頭に、この期間最多の24勝(芝16勝、ダート8勝)を挙げました。ただ未勝利戦の勝ち鞍が多く、上級条件で苦戦していた感は否めません。3位にはディープインパクト。この期間は12勝止まりでしたが、1勝クラスでの勝利、勝ち切れないものの重賞での賞金が加算され、この位置をキープしています。上位3種牡馬は拮抗しています。
そして、ダービー馬を出したハーツクライが離れた4位。そもそも生産頭数が少ないので、この賞金を叩き出しているのは、やはり強さの証明ですね。そして5位は前期間よりランクアップしたドレフォン。ジオグリフ・カワキタレブリーの活躍が大幅に賞金を押し上げましたが、その他の賞金は全て未勝利クラス(芝3勝、ダート5勝)の勝ち鞍によるものでした。6位にランクダウンしたエピファネイアは突出した産駒はいませんでした。この世代は不作なのかもしれません。
7位以下、この期間内の勝利数です。ハービンジャー(6勝)、ダイワメジャー(9勝)、キズナ(10勝)、キタサンブラック(6勝)となっています。
以上が、2021年6月~2022年5月のサイア―ランキングでしたが、6月からは条件戦が古馬混合戦となります。降級制度も廃止されたことから、3歳馬の活躍が目立ち始めました。ひと夏を超えればまたサイア―ランキングにも変動が出てくると思います。また、今後もこの世代で活躍する種牡馬を追っていこうと思います。
追記:ダートシェア率について。
ダートシェア率が低種牡馬は芝を得意とするのは当然なのですが、ダートを苦手とする種牡馬も注視しておかなければいけません。以下、備忘録として、「種牡馬」と「ダート勝率」を記載しておきます。
ディープインパクト(6.3%)、シルバーステート(6.9%)はダート替わりも苦手なようです。下位では、ルーラーシップ(6.0%)、ゴールドシップ(6.4%)も覚えておきたいですね。