今回は今後の日本の競馬界を変える可能性を秘めた種牡馬を紹介したいと思います。

 

 それはダーレージャパンが所有するアメリカンペイトリオットです。

 

 まずはアメリカンペイトリオットの説明をする前に偉大な父「War Front」の説明が必要です。

 

 「War Front」は2002年米国生まれ。現役時代の主な勝鞍は

 アルフレッド・G・ヴァンダービルトハンデキャップ(G2:D6F)のみで地味な成績であり、種牡馬としても厳しいスタートを切りました。

 しかし初年度産駒*The Factorが米国のダート短距離でG1:2勝(AW7F、D7F)を挙げました。

 それをきっかけに種牡馬として本格稼働したのですが、特筆すべきはその後の産駒が米国(芝・ダート共)・欧州・香港と世界中のG1を凌駕したところです。とにかく色々な場所で産駒が勝ちまくった…という事です。主な産駒と勝鞍を記しますが、多種多彩な産駒を産んでいます。ワールドワイドな活躍馬を出すという点では、21世紀最強の種牡馬と言えるのではないでしょうか。

 

以下国名は調教国(産国はすべてアメリカです)

 

・War of Will(2016年米国)

 ブリークネスS(G1:D9.5F)

 メーカズマークマイルS(G1:T8F)

 

・*Declaration of War(2009年愛国

 クイーンアンS(G1:T8F)

 英国際S(G1:T10F88Y)

 

・Summer Soiree(2008年米国

 デルマオークス(G1:T9F)

 

・Data Link(2008年米国♀

 メーカーズ46マイルS(G1:T8F)

 サイテーションH(G2:T8.5F)

 

・Jack Milton(2010年米国

 メーカーズ46マイルS(G1:T8F)

 

・Avenge(2012年米国

ロデオドライヴS(G1:T10F)2連覇

BCフィリー&メアターフ(G1:T10F)

 

・アメリカンペイトリオット(2013年米国

 メーカズマークマイル(G1:T8F)

 

・Roly Poly(2014年愛国♀

 愛1000ギニー(G1:T8F)2着

 コロネーションS(G1:T8F)2着

ファスマルS(G1:T8F)

 ロートシルト賞(G1:T1600)

 サンチャリオットS(G1:T8F)

 

・Lancaster Bomber(2014年愛国

 BCジュベナイルマイル(G1:T8F)2着

 UAEダービー(G1:D1900)4着

 ブリーダーズCマイル(G1:T8F)2着

 タタソールズ金杯(G1:T10F110Y)

 

・U S Navy Flag(2015年愛国

 ミドルパークS(G1:T6F)

 デューハーストS(G1:T7F)

 愛2000ギニー(G1:T8F)2着

 ジュライC(G1:T6F)

 

・Omaha Beach(2016年米国

 アーカーソンダービー(G1:D9F)

 スプリントチャンピオンシップ(G1:D6F)

 ブリーダーズCダートマイル(G1:D8F)2着

 マリブS(G1:D7F)

 

・War Command(2011年愛国

 デューハーストS(G1:T7F)

 

・Hit It a Bomb(2013年愛国

 BCジュベナイルターフ(G1:T8F)

 

・Air Force Blue(2013年愛国

 フェニックスS(G1:T6F)

 ナショナルS(G1:T7F)

 デューハーストS(G1:T7F)

 

・Brave Anna(2014年愛国

 チェヴァリーパークS(G1:T6F)

 

・Helene Super Star(2010年愛国・香港

 UAEダービー(G1:AW1900)

 チャンピオンズ&チャターC(T2400)

 

 この華々しい産駒たちを見ると、いかにワールドワイドな活躍をしたか理解できると思います。またこの産駒たちは種牡馬として活躍することもあり、「War Front」は“Sire of Sires(種牡馬を生む種牡馬)”と呼ばれています。

 

 

 

 そこで本論のアメリカンペイトリオットについて。現役時代はG1を含む5勝を挙げており、1600m~1800mの芝で活躍しました。

 

War Front Danzig Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Pas de Nom Admiral’s Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim
Starry Dreamer Rubiano Fappiano Mr. Prospector
Killaloe
Ruby Slippers Nijinsky
Moon Glitter
Lara’s Star Forli Aristophanes
Trevisa
True Reality Round Table
Secret Promise
Life Well Lived Tiznow Cee’s Tizzy Relaunch In Reality
Foggy Note
テイズリー Lyphard
Tizna
Cee’s Song Seattle Song Seattle Slew
Incantation
Lonely Dancer ナイスダンサー
Sleep Lonely
Well Dressed Notebook Well Decorated Raja Baba
Paris Breeze
Mobcap Tom Rolfe
Cap and Bells
Trithenia Gold Meridian Seattle Slew
Queen Louie
Tri Argo Tri Jet
Hail Proudly

Moon Guilter × Relaunch 4×5     Seattle Slew 4×5

 

 

 血統表を見ていきますと、まず父「War Front」はここまでさんざん説明してきたので割愛して。母父にはゴドルフィンアラビアンの血を引く「In Reality」系の血を引く「Relaunch」が入るのですが、このサイアーラインには、日本では1000mのレコードを保有するカルストンライオト、牝馬ながらスプリント戦(北九州記念、セントウルS)2連勝したリトルゲルダ等がおり、スピードに特化した母父だと言えます。日本の種牡馬において、この「In Reality」の血を母方に持つ種牡馬は距離適性は短めに出る傾向があります。

 

 祖母もアメリカンサイアーである「Bold Ruler」の系統であり、さらにスタミナ血脈である「St. Simon」の血を引く「Tom Rolf」の血も入ります。曾祖母の代に米国3冠馬「Seattle Slew」があり、Tiznowが保有する「Seattle Slew」のクロスが生じ、強調されます。

 

 またこの配合の特徴は「Moon Glitter=Relaunch」の全兄弟クロスが入る所が味噌です。かなりスピードが強化されることでしょう。

 

 このようにアメリカンペイトリオットは世界をまたにかける超良血、「War Front」の産駒であり、特に日本においてはスピードが特化される種牡馬と言えるのです。

 

 まだデビューして1年にもなりませんが、産駒の傾向を見てみると、芝で8勝、ダートで6勝を挙げています。適距離は芝なら1200m~1800m、ダートは配合次第でどんな距離でも行けそうです。筆頭産駒としてビーアストニッシドがいますが、未勝利戦後、京都2歳Sで2着、共同通信杯で3着と、あと一歩のところですが、皐月賞への収得賞金のボーダーラインが下がってくるとクラシックに出場する事でしょう。

 

 産駒の傾向を見ると、母型が芝で走っていたサンデーサイレンス系との相性は悪くはなさそうです。Danzigが持つ本馬7代目にある「Heliopollis」とサンデーサイレンスが4代目に持つ「Gulf Stream」の親和性は高いです。

チーム4分の3」参照。血統評論家の笠雄二郎先生のワーキングチームで私も加わっていました。

 だ、本領を発揮するのは短距離で活躍する場合、母は米国のダート型。マイルから中距離で本性を発揮するなら母は欧州の良血型が良いでしょう。

 

 もちろんWar Front産駒であるアメリカンペイトリオットの事、多彩な距離適性を見せると思いますが、G1クラスを輩出するのはやはり1200m~1600mぐらいかと思います。母型の配合も、所謂「日本のおける良血」…というよりは、「ゴドルフィンが所有しているような世界的な名血牝馬」との配合が良さそうな予感がします。エテルナメンテアメリカンスターのような配合が上級条件で活躍する産駒の中心になって来そうな気がします。また「War Front」もそうでしたし、他の後継種牡馬も然り、若い2歳戦・3歳戦前半ぐらいに活躍のピークが来ると思います。早熟性が売りでもあります。

 

 世界をまたにかけた父を持つアメリカンペイトリオットの事、日本でも大暴れしそうな予感がしています。

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